不良牧師アーサーホーランドのブログ。

泣くこと・涙すること
  大声で泣いた
  涙がとめどなく 流れた
  悔しさ 悲しさ 淋しさ
  みな 雫となって 流れ落ちた

人は誰れであれ、苦しみ、悲しみ、涙するものである。
感極まって泣くこともあるが、言葉に表せない悲しみの中
ただ涙が溢れ、頬から流れ落ちることがある。
其の一粒一粒の涙の中に、計り知れない
その人の言い様のない想いが満ちている。

第二次世界大戦中に、不当な取り扱いを受けたユダヤ人の男性は
妻も子もナチズムによって虐殺され、挙句の果てに
強制収容所の中で、囚人にまでされ酷い肉体労働を強いられる。
終戦とともに生還した彼はこう述べている。

  私は気持ちが萎え、時には涙することもあった
  だが涙を恥じることはない
  涙は苦しむ勇気をもっていることの証なのだから

私が日本で育った十代のころは、三船敏郎の
『男は黙ってサッポロビール』のコマーシャルが流行っていた時代だった。
男は度胸、女は愛嬌というように、男は涙をみせちゃあいけない。
心で泣いて顔で笑うんだみたいな男の美学があった。

男らしい奴は人前で泣くなという価値観が、とくに武道を嗜んでいた私の中
にもあった。泣く奴、涙を流す奴は弱い奴みたいな考えが……
それが好いとか悪いとかいう話しではないが、泣く事においても
回りの目が気になってしまう人や、また逆の、何処であっても
演技でもしているかのように泣く人、また泣ける人もいる。

  泣き崩れる人  その涙に心打たれる
  しかしその人に  心欺かれる
  でも、あの時の あの涙は 信じてあげたい

泣いて謝る人に心動かされるが、のちに裏切られる体験を
人生で味わう事がある。それでも、あの時のあの人の澄んだ涙には
真実があったと受けとめたい、という心境を歌っている詩である。
またネイティブ・アメイカンの詩には

  泣くことを  恐れるな
  涙は悲しい思いを 心から洗い流してくれる

           (ドン・タレイシュバ・ホビ族)

ともある。
音楽家シューベルトはヴィルヘルム・ミュラーの詩集を歌曲にしたことで
知られているが、その中に『冬の旅から凍った涙』という詩がある。

  凍ったしずくが  ほおから落ちる
  僕は知らず知らず  泣いていたのか
  おお涙よ  僕の涙よ
  どうしてお前たちは  冷たい朝の露のように
  凍ってしまうほど  なまぬるいのか
  そんなではなく  燃える熱さで  胸の泉からほとばしれ
  まるでお前たちが  冬中の氷をとかしたがってるかのように…

流す涙、その凍ってほおから落ちるしずく、その言い様のない悲しさに
気づき、ふるい立つ熱き心が伝わってくるようだ。
深く悲しんだ人ほど、強く喜ぶことが出来る。
沢山涙を流した人ほど、多く笑うことが出来るのである。

日本に住んでいると四季の移り変わりを肌で感じる。鬱陶しいと思える
梅雨の時期もある。しかし、日本の美しい自然界、あの緑葉に紅葉、ど
れだけあの嫌だと思える雨が役に立っているかと思う。
人生においても素直に感極まって、また悲しんで、そしてある時は言い
様のない思いの中で、泣くことが大切かを考えさせられる。

人間は泣くことによって元気になり、人間らしさを取り戻すような気が
する。みなさんも泣きたい時は大いに泣いて、心の悲しみを洗い流して
くださいね。
いつかその涙は、必ず人生の問題に対して、大いに笑って吹き飛ばして
行くパワーの源になるにちがいない。







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